研究概要 |
1.強加工を利用した粒径微細化と方位制御 高性能マグネシウムの創製プロセス確立のため,組織微細化,集合組織制御に取り組み,以下の知見を得た.Mg-Zn系合金に強加工・拘束型押出成形を適用して,微細結晶粒にサブミクロン以下のZr系析出相を多量に析出させるプロセスが構築できた.また,この押出成形で,底面すべり方向と最大せん断すべり方向を一致させる方位制御を行うことにより,250MPa以上の高強度と30%以上の伸びが得られたが,300℃以上の温度域では粒成長し,高温での成形加工には問題があることが明らかになった. 2.電子状態,界面・粒界構造などの第一原理数値計算 擬ポテンシャル法での第一原理計算により,マグネシウムのすべり変形のシミュレーションを行い,以下の知見を得た.純マグネシウム単結晶の理想すべり変形における各すべり面での積層欠陥エネルギーは,底面32mJ/m^2,柱面255mJ/m^2,錘面161mJ/m^2で,これらの値の大小より変形強度の異方性が説明できた.さらに,底面,柱面での積層欠陥エネルギーは,リチウム,アルミニウム,亜鉛のいずれの添加によっても減少することがわかった.また,結合,強度の異方性は電子密度分布からも理解できる. 3.拡散接合および摩擦攪拌溶接 拡散接合のメカニズムを空洞の消滅ととらえて条件式を導き,最適拡散接合条件を予測できるモデルが構築でき,接合時間,接合圧力,接合温度等さまざまな因子において実験結果とよく一致した.摩擦攪拌溶接では,純マグネシウムの場合,母材の40%の引張強度しか得られなかったが,マグネシウム合金では母材の90%以上の引張強度が得られた.
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