研究概要 |
Mg合金の表面に高純度のMg被膜を形成し,耐食性の向上を図ることを目的として研究を行っている。Mgの高純度化,および被膜の形成のために,真空容器内で,Mg合金を蒸発させ,同容器内の低温部に置いた他のMg合金の表面に蒸着するという手法を用いた。種々の不純物とマグネシウムとの蒸気圧の差により高純度化が図れる。 本年度は,蒸着の基本的な条件である,蒸発合金の温度,蒸着素地合金の温度,それらの間の温度分布などを,種々変化させて最適範囲を求めた。いまだ広い範囲でしか定められていないが,蒸発合金を773〜1073Kの範囲に保ち,蒸発素地合金を373〜573Kの範囲に保持することにより,比較的指向性の無い被覆を行い得た。しかし,保持温度だけでなく,温度分布も被膜形成に影響を与え,適当な分布の際には,マグネシウムと蒸気圧の近い亜鉛をも分溜できることを示すことができた。 得られた被覆合金について,耐食性を評価すべく,電気化学的測定,および塩水浸漬試験を行った。その結果,被覆合金の耐食性は,高純度マグネシウムの耐食性に匹敵することが明らかとなった。
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