研究概要 |
蒸発源として3N-Mg,AZ91マグネシウム合金を用い,蒸着基板にAZ31合金を用いて,蒸着の基本的な条件を求めた.温度勾配の影響が大きいことが判明したため,5段の電気炉からなる真空炉を作製して蒸着の最適範囲を拡大した.その結果,穴を有する基板についても穴の内部まで蒸着できることを示した.同時進行で,純マグネシウム(3N,6N)およびマグネシウム合金(AZ31,AZ91E)の耐食性評価を,分極測定,浸漬試験などにより行い,AZ31合金に蒸着を施すことにより腐食減量が約1/10に減少することを示した.耐食性向上の機構解明のため,レーザー顕微鏡を用いて塩水中での腐食挙動の直接観察を行った.その結果,蒸着無しのAZ31合金では,全面腐食の後,糸状腐食が進行していくのに対し,蒸着被覆を施したAZ31合金では,ある程度全面腐食が進行するとそれ以上の進行を抑制する傾向があることを明らかにした.これは高純度6N-Mgの腐食挙動と類似であり,蒸発→蒸着の間に精製(レトルト効果)により純度が向上して耐食性が改善されることを示しえた.SPring-8の県有ビームラインのGrazing angle X線回折装置を用いて極表面の腐食生成物の同定を試みた.現在解析中である.
|