研究概要 |
マグネシウム-アルミニウム系合金の凝固組織微細化技術確立を目的に研究し,以下に示す成果を得た。 (1)微細化剤を必要としない結晶粒微細化技術の研究開発 傾斜冷却板上にマグネシウム合金溶湯を流下させ,初晶マグネシウムを微細化する方法を開発した。この方法はすべてのマグネシウム合金に適用でき,さらに微細化剤を必要としないという特徴を有する。また不純物元素を極力抑えた高純度Mg-Al合金においても結晶粒微細化を必要としないことを明らかにした。さらにFeとMnに関しては,極微量で結晶粒粗大化を引き起こすことを示した。そこでこれら元素を除去するための方法について検討することとした。 (2)マグネシウム合金溶湯からの鉄の除去(マグネシウムのリサイクル) 高純度マグネシウム合金を用いて,Mg-Al合金における鉄の溶解度を求めた。本研究により,マグネシウム合金における鉄の溶解度が極めて小さいこと{0.005mass%(933K)}および従来考えられているよりも多くの鉄がマグネシウム合金溶湯中に遊離していることを明らかにした。 市販の電解マグネシウムは,不純物元素として既に0.03%の鉄を含んでいるが,上述の結果からも明らかなように,そのほとんどは微粒子として溶湯中に遊離している。そこで溶湯に磁場を与え,鉄を除去する方法を検討した。本研究では,まず電磁石鉄芯を溶湯に浸漬する装置を作製した。そして磁場中で溶湯を徐冷凝固し,凝固組織観察を通じて鉄の分離可能性を調べた。その結果,溶湯中の鉄は磁場中で凝集し,除去しやすい形態に変化することを明らかにした。
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