研究分担者 |
長田 俊哉 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助手 (00201997)
大谷 弘之 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助教授 (80203826)
田中 信夫 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (50032024)
荒川 秀雄 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助手 (80211704)
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研究概要 |
原子間力顕微鏡の力学測定モードを利用したタンパク質の延伸・収縮の力学をナノメートル・ナノニュートン領域で測定した.まずαヘリックス構造をとるポリペプチドを合成してそのバネ力学を世界ではじめて明かにした.ついで球状タンパク質ある炭酸デヒドラターゼについてN-末端とC-末端をそれぞれ原子間力顕微鏡の基板と探針に共有結合で固定したあと延伸し,その硬さを力学的に評価した.その結果,炭酸デヒドラターゼはC-末端側にある「結び目」構造の有無で非常に異なるフォース・エクステンションカーブをしめすことがわかった.さらに活性中心に結合することが知られている阻害剤を共存することにより,酵素分子内に非常に柔かい部分と硬い部分が生じることがわかった.結び目のない時の酵素の延伸曲線の両対数プロットが直線を示すことから,炭酸デヒドラターゼがパワーローに従う複雑系として振舞っているという仮説を立ててその挙動の詳細な検討を始めた.また,理論班の分子動力学的研究との共同研究の推進を図っている.今後の研究課題として取り上げる問題として,αヘリックス構造を主構造とするミオグロビン及びカルモジュリンの延伸と立体構造再生力学の測定,βシート構造をとるOspタンパク質と呼ばれる新規な非球状タンパク質の延伸力学がある.これらのタンパク質のナノ力学を解明することによりこれまで研究の行き届かなかった,タンパク質を中心とする生体高分子複雑系のナノ力学と工学操作を本格的な学問分野として開拓する.
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