研究課題/領域番号 |
11228203
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
増田 秀樹 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (50209441)
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研究分担者 |
舩橋 靖博 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (00321604)
小澤 智宏 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (70270999)
実川 浩一郎 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (50235793)
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キーワード | 酸素の可逆性脱着 / ハイドロパーオキサイド / スーパーオキサイド / 亜鉛錯体 / 非ヘム酵素 / ヘムエリトリンモデル / 酸素活性化機構 / SOD活性 |
研究概要 |
生体内に存在する酸素捕捉・活性化酵素における分子機構を解明するために、配位構造や配位環境など生体系を摸倣した鉄・銅・亜鉛等の遷移金属錯体を構築した。そして、酸素や過酸化水素との反応を検討した。その結果、(i)酸素の可逆的脱着能を示すヘムエリトリンモデルの構築に成功した。この機構の本質は適当な距離を保った鉄二核の配置と疎水的環境と橋掛け官能基である水素を保持したアルコール性水酸基の存在であることが明らかとなった。これはヘムエリトリンにおけるμ-ヒドロキソ基の役割の意義を示すものであり、興味深いものである。(ii)過酸化水素が配位した鉄錯体の合成・単離に成功した。また、この錯体と基質との反応を検討したところ、nucleophilicな性質を示し、非ヘム鉄酵素が示す酸素活性化機構がヘム鉄酵素が示すそれと全く異なることが明らかとなった。即ち、ヘム酵素の酸素活性種がelectrophilicであるのに対し、非ヘム酵素の酸素活性種はnucleophilicであることを初めて見い出し、生体系酸化酵素における両者の存在意義を明確化に成功した。(iii)銅-亜鉛スーパーオキシドジスムターゼが示すスーパーオキサイドの不均一化に金属が如何に関与するかについて検討し、その結果、亜鉛にハイドロパーオキサイドが配位することを初めて見い出した。また、更に亜鉛がスーパーオキサイドの不均一化に寄与することを初めて明らかにした。この知見は亜鉛は酸化還元機能を示さないため、スーパーオキサイドの不均一化には一切関与しないという、これまでの常識を覆すものである。
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