研究課題/領域番号 |
11229201
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
脇原 将孝 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (20016596)
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研究分担者 |
石澤 伸夫 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授 (90151365)
菅野 了次 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (90135426)
阿竹 徹 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (30028229)
生田 博将 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (80242270)
内本 喜晴 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (50193909)
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キーワード | リチウム電池 / 固体 / イオニクス / 界面 / 電極 / 電解質 |
研究概要 |
全固体リチウムイオン電池の構築を目指し、その構成要素である正極、負極、固体電解質について、材料の探索と構成要素間の界面制御、さらに全固体デバイスの特性評価を行った。正極材料であるLiMn_2O_4は合成条件によって種々の不定比性を示すことがわかっており、その不定比性が電池特性に大きく影響することが指摘されている。低酸素分圧下で合成されたLiMn_2O_<4-δ>の欠陥構造モデルについて、密度測定、低温熱容量の測定から、金属過剰モデルが妥当であることがわかった。また、マグネシウムを添加した立方晶系のリチウムマンガンスピネル正極結晶中のリチウムの拡散路を、放射光を利用したリートベルト解析による電子密度分布解析から調べ、8a席のLi近傍に4つの安定サイトがあることを明らかにし、拡散に関する知見を得た。新規負極材料としてバナジウム系酸化物に注目し、Brannerite型構造を有するMnV_2O_6の電気化学的特性について検討を行った。その結果、初回の充電(リチウム挿入)の際にはMnV_2O_61モル当たり12モルのリチウムが挿入されており、1400mAh/gに相当することを見出した。これは、現在実用化されているグラファイト電極の3倍以上の容量である。固体電解質では、熱的に安定なポリエチレングリコールホウ酸エステルに注目し、これを二種類のポリエチレングリコールメタクリレートを共重合させたマトリクスポリマーの可塑剤として用いることにより、イオン導電性の改善を試みた。これに種々の濃度のLiN(CF_3SO_2)_2を加え、導電率の温度依存性を測定したところ、室温において10^<-4>Scm^<-1>オーダーの比較的高い導電率が得られた。また、新規なチオリシコン系結晶質固体電解質の開発を行った。この結晶質固体電解質は、室温でバルクのイオン導電率が10^<-3>Scm^<-1>以上の値を示し、広い電位窓をもつことが明らかとなった。
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