研究課題/領域番号 |
11229202
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研究種目 |
特定領域研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
こうじ谷 信三 京都大学, 化学研究所, 教授 (50027900)
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研究分担者 |
池田 裕子 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (10202904)
村上 昌三 京都大学, 化学研究所, 助手 (10260621)
浦山 健治 京都大学, 化学研究所, 助手 (20263147)
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キーワード | イオン伝導体ガラス / 高分子固体電解質 / ポリエチレンオキシド / 有機-無機複合体 |
研究概要 |
リチウムイオン二次電池への利用をターゲットとして、今年度はポリエーテル/リチウム伝導ガラス複合体の作製と、複合体の特性化・物性評価を行った。ガラス成分としてはLiS-SiS_2系ガラスを選定し、大阪府立大学南研究室において合成されたものを用いた。バルクのスルフィド系ガラスを数μmサイズまで粉砕し、さらにメノウ乳棒を用いて多分岐型ポリエチレンオキシド(TEC)と混合してTEC/スルフィド系ガラス複合体を作製した。 この複合体をブロッキング電極である白金板を用いたセルにより交流インピーダンス測定を行い、コール・コールプロット(復素インピーダンスの実数部と虚数部のプロット)を行ったが低周波数域で発散して、円弧を描かなかった。しかし複合体を80℃で2時間熟成して後測定を行った所、半円形のコール・コールプロットが得られ、導電率が評価できた。熟成によりスルフィドガラス微粒子の表面がポリエーテルにより充分に濡れるものと解釈される。 用いたスルフィド系ガラスは化学的に安定とはいえず、水分を含む空気中に放置するとイオン伝導性を失ってゆくが、ポリエーテルと混合して作製された複合体はかなり安定性が増しており、セルを20日間大気中に放置しても、導電率に大きな変化は認められなかった。 まだ予備的な結果であるが、優れたイオン伝導性を示すが安定性に欠けるスルフィド系ガラスが、ポリエーテルとの複合化により、材料として用い得る固体電解質となる可能性が強く示唆された。
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