研究概要 |
本研究のねらいは第一原理のみに基づいた量子化学計算により,構造欠陥や界面に基づいた損失のない場合の電池電圧や容量といった本質的な電池特性を算出し,原子配列や組成との関連性を理解することにある. 本年は,全固体イオニクス素子の優位性を発揮できる高電圧正極材料の量子材料設計を目指した.高精度のバンド計算法として標準的なFLAPW(full potential augmented plane wave)法と,構造最適化の精度が高く,かつ効率の良い平面波基底・擬ポテンシャル法を併用して研究を進めた.その結果,フッ化物系において,7Vが期待できる正極材料の存在を世界で初めて発見した. また,特定領域研究の他班と密接に連携し,まず第2班とは,Mn系スピネルでの酸素欠損型欠陥のエネルギーを詳細に検討し,またX線吸収スペクトルの解釈のための多電子系第一原理計算プログラムを開発した.第1班とは,固体電解質中でのLiの拡散メカニズムを決定する素因子を理解するための計算を開始した. 計算結果は,他班の実験グループと共有し,分光実験の結果の解釈や,新規材料探索に応用できる体制になっている.
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