研究概要 |
(1)ペロブスカイト型Mn酸化物La_<1-x>Sr_xMnO_3(x〜1/8)のフォノン異常 ペロブスカイト型Mn酸化物La_<1-x>Sr_xMnO_3(x〜1/8)は,電荷,スピン,軌道など電子の内部自由度およびそれ等に伴う格子系の自由度が結合して,各々のエネルギーが競合し温度低下とともに常磁性絶縁相,強磁性金属相,強磁性絶縁(軌道秩序)相へと違続して相転移を起こす。本論文では,La_<1-x>Sr_xMnO_3(x=0.10,0.11,0.125)の遠赤外反射率測定を振動数10〜650cm^<-1>で行い,x=0.125,0.11試料のフォノンの振動子強度,線幅,振動数が相転移に伴い顕著な温度変化を示すことを見出した。具体的には,温度低下に伴い強磁性金属相でベンディングモードが異常な線幅増大を示し,強磁性絶縁相への相転移に伴い同モードのあるブランチの振動子強度が増大することを発見した。これは同モードを支配するMn-Oボンドの有効電荷の増加が原因であると結論した.更に強磁性絶縁相における結晶対称性が低下する結果として現れる赤外活性化するモードを観測した。以上のように,連続する相転移に伴う格子振動の変化を実験的に解明し,軌道整列の研究に貢献した。 (2)現在、一次元アダマールマスクによる共鳴吸収像の測定を試みている。
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