研究課題/領域番号 |
11232203
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
安田 幸夫 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60126951)
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研究分担者 |
酒井 朗 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (20314031)
財満 鎭明 先端技術共同研究センター, 教授 (70158947)
畑 朋延 金沢大学, 工学部, 教授 (50019767)
池田 浩也 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (00262882)
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キーワード | シリコンゲルマニウム / 歪緩和バッファ層 / 格子欠陥 / 界面層 / スパッタ法のMCシミュレーション / スパッタ粒子のエネルギーの低減 / シリコンゲルマニウムカーボン / 走査トンネル顕微鏡 |
研究概要 |
人工IV族半導体極微細構造デバイス作製に必要不可欠な原子精度要素プロセスの開発にあたり、本年度は、Si基板上のGe、SiGe、SiGeC薄膜の作製技術の開発において以下の研究成果が得られた。 1.歪緩和SiGeバッファ層の薄膜化と完全歪緩和の両立を意図して、効率良くSiGe層を歪緩和させるための成膜プロセスの開発を行った。ここでは、SiGe/Si基板界面に歪・欠陥制御界面層を挿入することにより、膜中に導入される格子欠陥の構造、分布、及び密度を制御し、SiGeバッファ層の歪制御を試みた。Si(001)基板直上に原子層オーダーで膜厚制御された(膜厚:0.5nm〜5nm)を有する極薄Ge層を低温にてエピタキシャル成長させた後、その上部にGe組成比30%、膜厚0.1μmのSiGe層を形成した。その結果、極薄Ge界面層の膜厚の増加に伴いSiGe膜中の残留歪が低減することをX線回折により確認し、圧縮残留歪0〜50%までのコントロールが可能となった。 2.SiGeエピタキシャル成長に与えるスパッタガス種の効果について検討した。まずSi、Ge原子のスパッタ過程の知見を得るためMC法によるスパッタシミュレーション技法を開発した。これによれば、Arより原子量の大きいKr、Xeを用いることにより、Si、Ge原子の運動エネルギーが小さくなることが示され、結晶欠陥の低減が予測された。実際にKr、Xeを用いたSi膜の成長実験において、明らかに結晶性が改善されることが示され、スパッタ法によるSiGe成長におけるエネルギー制御の指針を得た。 3.Si、Ge、Cの固体ソース分子線成長と薄膜表面のその場走査トンネル顕微鏡観察が可能な装置を用いて、成長過程における各元素の原子オーダーでの反応機構に対する解明を試みた。その結果、成長表面におけるC原子の凝集と、それによって誘発されるSi-Ge/Si-Cの局所的相分離がSiGeC薄膜の結晶性や表面形態を損なう主たる要因となることが明らかになった。また、1〜2原子層厚のSiGe中間層の形成によって、上記の膜質劣化現象が抑制されることを確認し、平均C濃度4.6%で原子的に平坦な表面を有する膜の成長に成功した。
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