研究課題/領域番号 |
11233101
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
岡村 均 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60158813)
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研究分担者 |
本間 研一 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40113625)
深田 吉孝 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80165258)
柴田 重信 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (10162629)
福永 浩司 熊本大学, 医学部, 助教授 (90136721)
近藤 孝男 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10124223)
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キーワード | 時計遺伝子 / サーカディアンリズム / 睡眠相後退症候群 / 季節性感情障害患者 / 転写因子 / リズム変異マウス / 遺伝子改変マウス / 生物時計 |
研究概要 |
哺乳類における時計振動の分子機構に関して、以下のことを明らかにした。時計遺伝子のネガティブフィードバック機構を補助し、その振幅を正の方向にも負の方向にも増大するという全く新しいタイプの時計転写因子PAR/E4BP4系を報告した。また、mPer1プロモーター・luciferase遺伝子導入トランスジェニックマウスを作成し、生体内での時計遺伝子発現のリアルタイムモニター系、生体外での薬剤の時計遺伝子のリアルタイムアッセイ系を確立した。また、視神経刺激により誘発される視交叉上核でのシナプス伝達長期増強の細胞内機序を調べた。さらに、新生仔ラットから得た視交叉上核分散培養系および組織培養系を用いて、神経ペプチド分泌リズムおよび神経活動リズムを長期間測定し、Clock変異マウスの視交叉上核細胞の電気活動に周期が延長したリズムのあることを明らかにした。最後に、給餌あるいはメタンフェタミンの一定時刻投与による、行動のリズムの同調時に、視交叉上核(主時計)、線条体や大脳皮質(脳時計)および肝臓(末梢時計)の時計遺伝子発現について調べ、視交叉上核非依存性リズムには視交叉上核以外の場所の時計遺伝子が重要であるとの知見を得た。鳥類での解析も進め、位相後退時に特異的に発現誘導されるbZIP型の転写因子cE4BP4を同定した。 ヒト疾患との関係では、Per 3遺伝子の[V647G, H1158R]多型が概日リズム障害である睡眠相後退症候群(DSPS)に高頻度で見られ、発症の危険因子であることを報告した。同多型を、概日リズム障害の関与が推定されている季節性感情障害患者(SAD)を対象に解析したところ、DSPSの場合と同様、高頻度で認められることを見出した。他の気分障害患者では特に頻度の差は認められなかった。
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