研究概要 |
現在までに睡眠相後退症候群(DSPS)43例、非24時間睡眠覚醒症候群(N-24)22例、不規則型睡眠覚醒パターン1例からからそれぞれ静脈血を採取し、ゲノムDNAを抽出した。SSCP法、PCR産物の直接シーケンス法により、変異の有無を順次解析している。既にメラトニン1a, 1b受容体遺伝子の解析は終了し、1a受容体からはR54W, A157Vの2種類の変異を、1b受容体からはG24E, L66Fの2種類の変異を発見し、R54W変異はN-24群で、コントロール群の約3倍の頻度で見出されることを示した。それぞれの変異を持つ受容体を人工的に発現させ、R54W変異を持つ受容体のBmaxが約3分の1に減少し、Kdが低下(親和性が増加)することを示した。今後はセカンド・メッセンジャーへの変異の影響を調ぺる予定である。 また、他の生体時計遺伝子についても解析が進んでいる。現在までに単離された全時計遺伝子(per1, per2, per3, Clock, BMAL1, timeless, hcry1, hcry2, N-acetyltransferase, hydroxyindote-O-methyltransferaseなど)についてゲノム構造を独自に、又は共同研究によって、或いはデータベースを用いて決定し、プライマーを作成中である。perlod, C1ock, BMAL1の各遺伝子については初期スクリーニングをほぼ終了し、missense mutationを含む複数の変異を見出している。現在疾患との相関を解析中である。 今後は更に症例数を増やし、全時計遺伝子について変異解析を行い、睡眠覚醒リズム障害と時計遺伝子の変異との関係を総合的に掌握する予定である。
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