研究課題
(1)雌雄生殖巣の性分化に従って複雑な発現パターンを示すbHLH型転写因子pod-1/capsulinについて解析し、精巣分化にとって重要なAD4BF/SF-1の発現を抑制することを見いだした。始原生殖細胞の滅数分裂への移行と卵母細胞への分化を培養下で進行させる実験系を確立し、LIFおよびgp130シグナル系が減数分裂移行を強く抑制することを発見した。胎仔生殖細胞では大規模な細胞死が起きるが、アポトーシス抑制機能をもつbcl-x遺伝子欠損ヘテロマウスにおいて、雄性特異的に生殖細胞の大規模なアポトーシスが起きていることを発見し解析を進めている。ショウジョウバエにおいて生殖細胞の発生に重要な役割を果たしているtudor遺伝子に関連する遺伝子を哺乳類で始めて同定して解析を行った。(2)マウス生殖細胞系譜に特異的な発現を示すVasa遺伝子に対してlacZおよびGFP遺伝子をknock-in組み換え操作したES細胞を樹立した。これを用いてin vitro培養下に未分化胚性幹(ES)細胞から生殖細胞の分化誘導を可視化することに成功した。この培養分化系によって選別される生殖細胞は、他の分化指標についても陽性であることから、少なくとも胎児生殖腺に定着した発生段階まで分化していることが判明した。又、その発生能を検定するために行った移植実験によっても、FACS分取したES細胞由来生殖細胞が正常発生の生殖細胞と同等の発生能を持つことを示した。さらに、in vitro分化系ではBMP4発現細胞との混合凝集培養によって顕著に分化促進が見られ、BMP4レセプターの阻害によって分化誘導能の阻害が見られることから、生殖細胞分化に対するBMP4の誘導作用が明らかになった。
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