研究概要 |
本年度は下記の半数体特異的cDNAクローンの解析、コードする蛋白質の解析および、それぞれの遺伝子構造の解析を行った。 Gsg3(actin capping protein alpha):step5半数体円形精子細胞から発現が始まる。蛋白質はアクチンの重合に関与しており、精子形態形成あるいは運動能に関係すると思われる。遺伝子はマウス第6染色体上に存在し、イントロンを持たない(文献参照)。 Haspin:step1半数体円形精子細胞から発現が始まる。核に局在する新規カイネースをコードしており、半数体細胞の細胞周期停止に関与すると思われる(文献参照)。遺伝子は第11染色体上のインテグリン遺伝子イントロン中に存在し、それ自身はイントロンを持たない。 Tektin:step15半数体伸張精子細胞から発現が始まり、精子尾部に局在する。構造蛋白質であり、チューブリンと相互作用することで、尾部形成あるいは運動能に関与すると考えられる(文献参照)。遺伝子は第4染色体上に存在し、少なくとも6個のエクソンからなる。 Sperizin:step1からstep10の半数体精子細胞で発現し、細胞質に分布するRing Zinc-finger蛋白質をコードしている。遺伝子は第17染色体上に存在し、イントロンを持たない可能性が強い(文献参照)。 これら以外ではヒストン様構造を持つHils,核蛋白質で、ホメオドメインを持つTISP38、アクチン様構造のActin like1とActin like2、RNAスプライシングに関与すると思われるHanp1などについての解析が進行中である。 これらの個々の遺伝子構造あるいはその生化学的機能を総合することにより、精子形成過程、特に半数体精子細胞分化の分子機構を解明できることが期待される。
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