マウス精子形成遺伝子群の解析

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11234202
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 西宗 義武 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (80029793)
• 研究分担者: 野島 博 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (30156195)
• キーワード: 精巣 / 生殖細胞 / 遺伝子発現 / 半数体 / 精子形成 / エネルギー代謝 / 受精

研究概要

これまでにマウス半数体精子細胞特異的サブトラクテッドcDNAライブラリー作成と精細胞特異的抗体によるスクリーニングによって90種類近くの精巣生殖細胞特異的遺伝子についての解析を行ってきた。本年度は以下の事柄について明らかにした。
1)半数体精子細胞特異的遺伝子Haspinはヒト、マウスで高度に保存されていることを示した。その遺伝子はイントロンレス遺伝子であり、進化上、植物・動物の分岐以前に祖先遺伝子からレトロポジションにより生じたことが推測された。
2)半数体精子細胞で特異的に発現する遺伝子SHIPP01は精子尾部形成に必須の蛋白質をコードしており、ヒト・マウスで共通であることを示した。
3)精巣特異的なsuccinyl CoA:3-oxo acid CoA trnasferase(Scot-t)をコードする遺伝子の解析を進めた。Scotは脂質からのエネルギー代謝に重要でヒト・マウスを含む哺乳動物一般で運動性の著しく高い精子のエネルギー供給に重要と考えられる。またScot-t遺伝子は体細胞型のScot遺伝子からレトロポジションによって生じたイントロンレス遺伝子であることを示した。
4)精巣生殖細胞特異的分子シャペロンCalmeginはER中でfertilin betaと結合することで、精子表面にfertilin alpha/betaを提示し、それが精子の輸卵管への移動と透明体への結合に重要であることを証明した。

研究成果

• [文献書誌] Ikawa, M. et al.: "Calmegin is required for fertilin alpha/beta heterodimerization and sperm fertility"Dev Biol. 240. 254-261 (2001)
• [文献書誌] Yamamoto, H. et al.: "Microbiological contamination in genetically modified animals and proposals for a microbiological test standard for antional universities in Japan"Exp Anim. 50. 397-407 (2001)
• [文献書誌] Boettgen-Tong, H.L., et al.: "Identification and sequencing the juvenile spermatogonial depletion critical interval on mouse chromosome 1 reveals the presence of eight candidate genes"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 288. 1129-1135 (2001)
• [文献書誌] Tohda, A. et al.: "Testosterone suppresses spermatogenesis in juvenile spermatogonial depletion (jsd) mice"Biol Reprod. 65. 532-537 (2001)
• [文献書誌] Yoshimura, Y. et al.: "Nested genomic structure of haploid germ cell specific haspin gene"Gene. 267. 49-54 (2001)
• [文献書誌] Tanaka, H. et al.: "Cloning and characterization of human haspin gene encoding haploid germ cell-specific nuclear protein kinase"Mol Hum Reprod. 7. 211-218 (2001)