研究概要 |
主にメルトリシα・メルトリンβ遺伝子9ノックアウトマウスの作成とその解析をおこない、メルトリンαは骨格筋形成および脂肪組織の形成に(Kurisaki et al. Mol. Cell Biol.2003)、メルトリンβは心臓形成・骨格筋形成・神経形成にかかわること(Kurohara et al. submitted)などを明らかにし、その公表に漕ぎ着けたところである。また、膜型プロテアーゼとして膜型ErbBリガンドの切断活性化を担うことを明らかにし、確かにノックアウトマウスの解析からも、メルトリンαはErbBリガンドのひとつHB-EGFの膜型から可溶性増殖因子としてのprotein kinase Cに依存した変換に、メルトリンβは心臓形成に関与するErbBリガンドNeuregulinの活性化に関与することを示した。これらのErbBリガンドがなんらかのプロテアーゼ制御を受けることは知られていたが、ノックアウトマウス作成によりADAMプロテアーゼがそのプロセスに関与することを示すことができたのは初めてであり、その意義はきわめて大きい。形態形成におけるメルトリンの役割や機能を探る中で、発生過程における増殖因子の放出とレセプターの活性化が、複数のプロテアーゼによって制御される、予想以上に複雑な制御によって行われていることもわかってきた(Wakatsuki et al.,in Press.)。 現在、メルトリンβ遺伝子の場合、ErbBリガンドのプロテアーゼ制御を介して、心臓ではErbB3発現細胞の遊走/活性化を制御していることもわかってきたことから、共通した機構が筋形成や神経形成でも行われているかどうかを検討している。また、ノックアウトマウスの筋形成におけるメルトリンα、βは、いずれも細胞分化は正常だが、そのあとの形態形成や維持の過程にかかわり、また、遺伝子機能の重複も考えられる。このことから、それらのダブルノックアウトマウスの解析をおこなっている(未発表)。
|