研究概要 |
我々は、筋形成にかかわる膜分子のスクリーニングの中で、ADAMプロテアーゼメルトリンα、β、γの遺伝子クローニングに成功し、その形態形成における役割を探ってきた。これまでに、これらが膜型プロテアーゼとして膜型ErbBリガンドの切断活性化を担うこと、ノックアウトマウス作成によりメルトリンαは骨格筋のみならず脂肪組織の形成にもかかわることなどを明らかにしてきた(Kurisaki et al., Mol Cell Biol., 2003). また、メルトリンβが心臓形成にかかわること、そして心内皮の分化にかかわることを明らかにした。メルトリンβノックアウトマウスは、その大部分が生後間もなく死んでしまうが、生き延びるものに関しては、Fallot四徴症の症状を示すことを見い出した(Kurohara et al. Developmental Biol. 2004)。Fallot四徴症は、極めて頻度の高い心疾患であるが、本モデルマウスで見られる神経系における異常や、心ドップラーエコーによる検討から得られつつある知見などを手がかりに、今後、人の疾患とのかかわりをさらに追求していきたい。 また、メルトリンβの、基質である膜型増殖因子ニューレグリンの切断制御に関する研究(Wakatsuki et al., J.Neurochem., In press)。さらに、未分化な腸管・レンズ・耳胞上皮などに特異的な発現を示す新規遺伝子メルトリン_εを同定した(Uchida-Watabe et al., in press)。
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