研究概要 |
メダカには2種類の腸管特異的膜結合型GC(OlGC6、OlGC9)が存在し、OIGC6は哺乳類のGC-Cのメダカにおけるホモログ遺伝子の翻訳産物である。OlGC6遺伝子の5'-flanking領域内の-90から-81のヌクレオチド(AGACCTTTGC)へ17kDaの核タンパク質が結合することがメダカ腸管におけるOlGC6遺伝子の転写に不可欠であった。17kDaのタンパク質は哺乳類のコアクチベータ"PC4"のメダカにおけるホモログであった。OlGC9は、腸管における転写発現量が、淡水にならしたウナギを海水に移行することによって100%上昇することが示されているヨーロッパウナギで発見された腸管特異的膜結合型GC(GC-C2)とよく似ているが、メダカ成魚を50%の海水に移行しても変化しなかった。nNOSはメダカ胚尾芽、耳胞、甲状腺、脳室に、PKGIは胸腺、鰓弓、嗅窩にそれぞれ限局して、OlGCS-a_1、OlGCS-a_2、OlGCS-b_1は胚全体にぼんやりと拡散して発現する。morpholino antisense oligonucleotide (MO)によるa_1/b_1ヘテロ二量体のknock-downによって前脳、目、耳胞の形成不全など中枢神経系における胚発生の異常が引き起こされ、a_2/b_1ヘテロダイマーのknock-downによって発生段階22の胚の尾芽に細胞死が認められた。これらのことはNO/cGMP情報伝達系がメダカの発生初期段階において重要な役割を担っていることを示唆している。また、原腸胚後期には2種類のPKG isoform (Ia, Ib)が発現しており、PKGIaの転写産物は脊髄、鰓弓に、PKGIbの転写産物は耳胞以外の組織にぼんやりと弱く発現していることが明らかになった。2細胞期メダカ胚にPKGla-MOを導入すると、発生中の胚にhammer-like head、眼の融合および眼周辺の細胞の変質などの重篤な変化が引き起こされた。しかし、PKGIb-MOの導入胚には異常は認められなかった。一方、PKGIの過剰発現胚では眼の縮小と前脳の肥大などPKA阻害胚と同様の変化が見られた。
|