研究概要 |
メダカMHCの遺伝学的解析:哺乳類、鳥類、両生類のMHCはクラスI,II,III遺伝子がクラスターとなって連鎖群を形成しているが、硬骨魚のゼブラフィッシュやメダカでは、これらの遺伝子が多くの染色体上に散在することが明らかになってきている。しかしながら、硬骨魚においてもクラスIA遺伝子とクラスI抗原の提示に関わる遺伝子群は連鎖群を形成しており、これら遺伝子が脊椎動物MHCの中枢部分をなすことが示唆されている。そこで本年はメダカMHCの遺伝学的解析をより進展させ、2つのクラスIA遺伝子、UAAとUBA、LMP2、LMP7、TAP2が連鎖群を形成することを確認するとともに、3つのクラスIIB、補体C3、C4、Bの遺伝子は各々別の染色体に存在することを明らかにした。 メダカMHCの物理的解析:遺伝学的解析により明らかになったメダカUAAとUBA、LMP2、LMP7、TAP2よりなる遺伝子クラスターの構造を塩基配列のレベルで明らかにするために、Hd-rR系統のメダカを用いて構築されたBACライブラリーをスクリーニングし、6ヶの陽性クローンを単離し、制限酵素地図、サザン解析を行った。その結果約230Kbのインサートを有する一つのクローンに上記のすべての遺伝子が含まれていることが判明したので、現在ショットガン法により、そのクローンの全塩基配列の決定を進めている。ABI377シーケンサーを用いて、一日に700bp,64サンプルの解析が可能であり、数ヶ月で全構造が決定できると考えられる。
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