1)パーティクルデリバリー法によるメダカ卵への簡便な遺伝子導入技術の開発:Helios Gene Gunシステムを用い、DNAを付着させた微少金粒子を受精卵に撃ち込み遺伝子を導入する方法を検討した。その結果、金粒子粒径;1.6μm、ヘリウム圧;120psi、1〜5μgDNA/SHOTの条件が、最高の遺伝子導入率を示した。この方法によりいられた、生殖系列細胞導入魚の割合は、従来のマイクロインジェクション法に比べ10分の1と低いものであった。しかし、単位時間当たりの処理卵数を考慮すると、実際の導入効率は遜色はないと考えられた。 2)緑色蛍光メダカ系統の樹立:マイクロインジェクション法により、以下の3種のメダカ系統を作出した。1;メダカペプチド鎖伸長因子1αプロモーターに緑色蛍光タンパク質遺伝子(GFP)を連結したベクターを導入することにより、成体の筋肉以外に緑色蛍光を有するメダカ系統。また、この系統は初期胚においては全細胞でGFPを発現するため、移植実験等に有効に利用できると考えられた。2;メダカβ-アクチンプロモーターにGFPを連結したベクターを導入することにより、全身、特に筋肉に強力な緑色蛍光を有するメダカ系統。3;メダカvasaプロモーターにGFPを連結したベクターを導入することにより、始原生殖細胞特異的に緑色蛍光を有するメダカ系統。いずれの系統も、各計画研究推進者に分与され、強力な研究材料として使用される予定である。
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