1)vasa遺伝子発現調節領域を用いた遺伝子導入魚の簡便な検出法の確立: モデル遺伝子として、筋肉特異的に赤色蛍光タンパク質(RFP)を発現させるOlM1-RFPを構築した。モデル遺伝子とolvas-GFPを混合した溶液をメダカ卵に注入したところ、次世代に、筋肉でRFPを発現するが生殖細胞にはGFPが見られない個体、筋肉でRFPが見られず生殖細胞にはGFPを発現する個体、筋肉でRFPを発現しかつ生殖細胞でGFPを発現する個体、が得られた。これは、混合溶液ではおのおのの遺伝子の生殖細胞への導入は独立して起こることが示された。この結果より、olvas-GFPを生殖細胞への遺伝子導入の指標とするには、モデル遺伝子と融合したコンストラクトにする必要があることが示唆された。 2)Cre-loxシステムを用いた導入遺伝子の人為的発現制御法の開発(メダカ系統の作出): Creによる遺伝子切り出しによる、目的遺伝子の発現開始システムを構築するため以下の実験を行った。テスター系統としてOlMA1-loxp-GFP-loxp-RFP遺伝子を含むメダカ系統を作出した。 3)インシュレーターを用いた導入遺伝子の人為的発現制御法の開発: Insulator-olvas-GFP-Insulatorを含むベクターを構築し、OlMA1-RFPと共にメダカ卵に導入した。Insulatorの有無によるGFPの発現様式をF0世代で検討した結果、InsulatorがOlMA1の影響を遮断する傾向が見られた。
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