メダカゲノムBACライブラリーの構築を進めた。北日本由来の近交系HNIの尾ヒレより樹立した培養細胞HNI41を出発材料に用いることにより、BACライブラリーの作製に必須である良質の高分子DNAを調整する系を確立した。調整したDNAを制限酵素で限定分解後、150kb-200kb のサイズ領域を分画し、BACベクター(pBAC-Lac)と連結、大腸菌DH10B株に導入した。現在すでに平均160kbのインサートサイズをもつクローンを9万6千個収集し、384穴プレート250枚に個別の保存した。メダカゲノムは約800Mbと推定されるので、約20ゲノムをカバーした。また1万9000クローンをブロットした高密度レプリカ(HDR)に対していくつかマーカーでスクリーニングを行ったところ、予想される数のクローンが得られたことから、ライブラリーの質が高いことが確認できた。現在、作製したBACを個別クローンまで同定するためにPCRスクリーニングミックスの調製、コロニーハイブリダイゼーションのためのHDRフィルターの大量生産を進めている。また作製したBACクローンの末端シーケンスを大量に行い、STSとして登録するための予備的な実験を行っている。今後これらのBAC末端STS(GSS)とともに領域内で蓄積されるEST、多型マーカーの情報と共にデータベース化して、DH法によりメダカゲノム物理地図作製の進展させる予定である。
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