研究概要 |
1.メダカ純系2系統(HNI/AA2)のゲノム多型に基づき、メダカゲノムSTSマーカーの単離とそれを用いた物理地図作製を行った。まず(CA) repeatもつゲノム断片を単離、塩基配列を決定し、100-250塩基対のゲノム断片がPCRで増幅できるような864個の蛍光プライマーを作製した。また4,212個のメダカ人工染色体(BAC)の末端塩基配列情報より、同様にして蛍光プライマーを設計・作製した。これらのプライマーを用いてHNI/AA2のゲノムを増幅し調べたところ、(CA) repeat配列を元にしたプライマーでは約20%以上において、BAC末端塩基配列を元にしたプライマーにおいては約15%の長さの多型が検出された。選抜されたプライマー607個を用いてHM/AA2タイピングパネルでタイピングを行い、24の連鎖群に分かれるメダカゲノムSTSマーカーを連鎖地図上にマップし物理地図を作製した。 2.現在まで、メダカ染色体位置情報としてESTが精力的にマップされてきた。またゲノム塩基を元にした情報としてはanonymous markerが公開されてきたが、無作為に単離されたゲノムSTS情報としてはこれが初めて事となる。連鎖地図上の殆どの交差領域内にこれらのSTSはマップされたため、BACのアンカリング情報として、またゲノム塩基配列研究者が任意のゲノム領域を特定しようとするとき有力なツールとなる。これらのプライマー塩基配列と染色体上の位置は公開される。 3.anonymous markerから推測された各染色体の物理的長さは連鎖番号と共に短くなる傾向を示していたが、STS markerによる結果では第2、13、19,24番連鎖群に位置するSTS marker数が少なく、結果として短い物理距離を示した。また長い連鎖群としては第23連鎖群が約70Mbを示した(平均33Mb)。組み換え抑制位置は雌雄間で異なり、雄は中央付近で抑制される傾向が見られた。
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