コレステロール代謝を制御する転写因子SREBPについて核内での修飾と動態についての解析を行った。SREBPは小胞体膜上に膜蛋白質として局在し、N末端側が切断され、この活性型が核へ移行し、核内で転写因子として機能する。この核内活性型は短寿命で、プロテアソームによる分解を受ける。今回、SREBPがユビキチン化以外の修飾を受けるかについて検討を行った。SREBP分子内にはユビキチン類似の修飾タンパク質であるSUMO-1の認識配列が複数個存在する。このことから、核内でのSUMO化について解析を行なったところ、SREBP1は2カ所、SREBP2は1カ所のSUMO化部位が同定された。SUMO化が転写因子活性に及ぼす影響を調べたところ、SUMO化部位に変異を入れたSREBPは転写因子活性が高く、SUMO化が転写因子活性を負に制御することが明らかになった。さらに、ユビキチン化とSUMO化が同じリジン残基を巡って競合しないかについて解析した。その結果、2つの修飾は互いに独立して行われ、SUMO化はユビキチン化による蛋白分解に影響を及ぼさなかった。 以上の知見は、コレステロ-ル代謝、脂肪酸代謝を制御する転写因子の核内での活性調節にユビキチン-プロテアソーム系並びにSUMO化修飾が関与することを明らかにした初めての証拠である。
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