研究課題/領域番号 |
11237206
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
谷 時雄 熊本大学, 理学部, 教授 (80197516)
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研究分担者 |
大島 靖美 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (90037606)
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キーワード | mRNA / 輸送 / 分裂酵母 / 温度感受性変異株 / Ptr8 / 遺伝子 / RNPS1 / コケイン症候群 |
研究概要 |
分裂酵母のmRNA核外輸送変異株ptr8の原因遺伝子の解析を行った。ptr8遺伝子はDNA除去修復に関わる基本転写因子複合体TFIIHの構成因子XPBと高い相同性を示す核蛋白質をコードしていた。蛋白質合成解析を行いmRNA核外輸送が実際に阻害されていることを証明した。ptr8変異株では蛋白質の核内外輸送は正常に行われており、輸送阻害はmRNAに特異的であった。また、出芽酵母のptr8相同変異株(ssl2)においてもDNA除去修復欠損以外にmRNA核外輸送の阻害が観察され、Ptr8pが遺伝子の転写やDNA除去修復のみでなく、mRNAの核外輸送過程にも関与していることが示された。ヒトではXPB遺伝子の変異によって色素性乾皮症の他に、著しい発育障害を引き起こすコケイン症候群を発症するが、この症候群はmRNAの核外輸送阻害に起因する疾患である可能性が考えられた。また、ポストスプライシング複合体の構成因子であるヒトRNPS1の分裂酵母相同因子spRNPS1の解析を行い、この因子が核に局在すること、分裂酵母の生育には必須でないこと、及びスプライソソームの構成成分であることを明らかにした。遺伝学的解析からspRNPS1がスプライシング因子Prp3pと相互作用すること、またprp3-2変異が制限温度下でmRNA核外輸送阻害を示すことを明らかにした。ΔspRNPS prp3-2二重変異はmRNA核外輸送阻害を増悪し、核膜周辺にmRNAを蓄積した。prp3+遺伝子がコードするタンパク質は、RNA認識モチーフを持ち、必須mRNA核外輸送因子Yra1pと相互作用していた。以上の結果は、spRNPS1とPrp3pは機能的に関連性をもち、pre-mRNAスプライシングとmRNA核外輸送をリンクする機構に関与している可能性を示唆している。
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