研究概要 |
Brassica SP遺伝子群とシロヌナズナゲノムsequenceとの相同性検索から、シロイヌナズナにおけるS遺伝子座対応領域のゲノムクローン(BAC;T12I7)を同定した。このT12I7の塩基配列を利用したSP遺伝子相同領域のクローニングを行うことにより、T12I7がConnerらの示したクローン(BAC;T1A8,6F5,2P16)の領域をカバーしていることを明らかにした。 2000年末にシロイヌナズナのゲノムsequenceが完成する過程において、T12I7のsequenceは前後4つのcontigに分割されて、遺伝子登録された。そこで、最終的な4つのcontigがカバーしている範囲についてORF予測を行い、SP遺伝子群の位置を確認した。シロイヌナズナとBrassica S9ハプロタイプの76kb sequenceを比較すると、SP3,SP4,SP8の遺伝子は、シロイヌナズナにおいてもtandemに並んでおり、その順序も両者で保存されていた。また、SP2,SLL2も同様であり、SP7と相同な遺伝子もシロイヌナズナに同定された。さらに、シロイヌナズナゲノムsequenceには、SAE1からSP6に対応する領域が欠失していた。この領域には、SLG,SRK,SP11を含む自家不和合性制御遺伝子を含んでおり、Connerらの主張するSLG,SRK対応領域の欠失を塩基レベルで確認するとともに、花粉側因子SP11の欠失も明らかにした。推定ORFの発現を確認するために、RT-PCR/Southern hybridizationを行った。その結果、発現量に多少の差異はあるが、LTPと相同性のあるF4N21-4を除いて、ほとんどのORFにおいて葉(栄養器官)と蕾(生殖器官)において発現が確認された。 さらに、T-DNA tag lineのscreeningの結果、AtSP3に1つ、AtSP8に3つのT-DNA insertion lineを確認した。挿入位置は、promoter領域、code領域のものもあった。
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