研究概要 |
SLG, SRK導入シロイヌナズナを交配して得られたSLG/SRK系統を母本とし、SP11導入シロイヌナズナの花粉を用いた交配実験を行った。短日処理を行うことにより、大型の花を大量に咲かせた。それに先立ち、個々の個体での遺伝子の発現をRT-PCRにより確認し、発現の見られたものを交配実験に供した。その結果、導入した遺伝子の発現が確認された個体相互の交配実験でさえも、花粉管の侵入が見られ、SLG/SRK/SP11を導入しただけでは、シロイヌナズナの和合性を不和合性に変化させることは不十分であると結論づけた。 T-DNAtag lineのスクリーニングにより、AtSP3,AtSP7,AtSp8,AtSLL2について、挿入変異体の可能性のある系統を得た。これらの系統の劣性ホモ系統を得るとともに、個々の遺伝子の挿入位置、発現、遺伝性、表現型の変化について調査し、遺伝子の機能推定を行った。しかしながら、いずれの遺伝子に関しても、遺伝子のコード領域へのT-DNAの挿入ではなく、生殖器官での表現型の変化は観察されなかった。 柱頭上での認識反応時に、SP11/SLG/SRKが複合体を形成していることが示唆され、SLGに変異があるものがB.oleraceaで見出されている。さらに、現在までに報告されたデータから、B.campestrisにおいては、S^<32>,S^<33>,S^<36>の3系統で、SLGが欠失している可能性が考えられた。 SLG^9プロモーターで制御したSP11-52をS^<52>に遺伝子導入した系統を30個体、2001年秋に開花させた。これらの個体を母本として、S^<40>,S^<44>,S^<29>,S^<8>,S^<9>,S^<12>,の花粉を交配したところ、5個体について、S^<40>,S^<44>を交配したとき、和合組み合わせであるにもかかわらず、花粉の侵入が見られなかったが、それ以外の花粉では和合反応を示した。
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