研究概要 |
前年度使用した4系統のclass-II S個体とclass-IであるS9とのヘテロ個体を作出し、葯におけるSP11の発現解析を行った。その結果、全ての個体において各class-II SP11の発現が抑制されていた。 次に前年度作製したS29,S40,S44のゲノムライブラリーから、SP11の周辺約10kb領域を含むファージクローンを単離した。そのうちS29ライブラリー由来の29-3クローンの全塩基配列をショットガン法により決定した。S60-SP11のプロモーター領域と比較したところATGより-200bp領域で75.0%、-500bp領域で60.5%の相同性であった。またS29-SP11の-500bp上流域内には花粉特異的遺伝子にみられるg10およびlat52モチーフが多数存在することを明らかにした。 昨年スクリーニングを行った在来種36品種から、自家和合性と思われる7品種を選抜した。このうち、自殖後代において自家和合性を示す遺伝的変異系統を、野沢菜,早生油菜,広島菜から見出した。それぞれ自殖種子を得て、表現型の確認・固定をさらに進める予定である。 S9系統に0.2%EMS処理を行ったM2世代、100系統1,000個体を展開した。閉鎖型網室内で栽培し、ミツバチを用いた放任受粉により、M2世代をスクリーニングした。その結果、和合性と思われる系統を5系統見出した。 現在までに報告されたデータから、S32、S33、S36の3系統で、SLGが欠失している可能性が考えられた。そこで、SLGがゲノム中に存在しないことをSLG、SRK-KDプローブを用いたDNA gel blot解析から明らかにし、また、近接した領域にSP11が存在していることも明らかにした。さらに、RNA gel blot解析から、これらの系統では、SRKに対応する転写産物と合わせて、SLGとほぼ同じ大きさの転写産物の存在を明らかにした。
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