研究課題/領域番号 |
11239208
|
研究種目 |
特定領域研究(B)
|
研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
太田 邦史 理化学研究所, 遺伝生化学研究室, 先任研究員 (90211789)
|
研究分担者 |
梅津 桂子 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (20223612)
水野 健一 理化学研究所, 遺伝生化学研究室, 基礎科学特別研究員 (70301778)
|
キーワード | クロマチン / 転写因子 / 組換え / ホットスポット / 複製開始点 / 減数分裂 / MAPキナーゼ / CREB |
研究概要 |
出芽酵母第3染色体の組換えホットスポット(減数分裂期DNA二本鎖切断箇所)に関するクロマチン構造解析については、今年度目標の半数程度の解析を終えた。その過程で複製開始点ARS310(第III染色体上のDNA二本鎖切断が観察されない染色体ドメイン内で例外的に二本鎖切断が生じる位置に存在)が、その周辺のヌクレオソームの配置やDNA近接性の規定に重要な役割を果たすことを見出した。 分裂酵母組換えホットスポットade6M26遺伝子座は、ade6遺伝子座上の点突然変異に起因するcAMP-responsive element(CRE)様配列に、MAPキナーゼやAキナーゼの制御下で性分化誘導に関わるCREB/ATF型転写因子Atf1/Gad7-Pcr1が、配列特異的に結合する事で出現する。本年度、この転写因子がCRE様配列に結合した後、直接的に周辺のクロマチンの再編成を引き起こすことを明らかにした。またこのクロマチン再編成が、減数分裂期のade6M26においては転写の活性化を行わず、組換えの活性化のみを引き起こすことを示した。さらに、M26ホットスポットでのクロマチン再編成が、ストレス応答MAPキナーゼ経路(ヒトSAPK-p38分裂酵母ホモログSpc1)やG蛋白質-cAMPキナーゼ経路、接合型遺伝子座のヘテロ接合性と接合フェロモンシグナル伝達経路(Mei3など)、減数分裂誘起過程の初期遺伝子群(Mei2、Pat1)によって複合的に制御されていることを示した。以上の結果から、組換え活性化が細胞の性分化・ストレス応答のシステムと表裏一体の密接な関係にあることが分子レベルで初めて明らかにされた。
|