研究概要 |
MT-MMP遺伝子は、現在までに6種類の分子(MTl,2,3,4,5,6-MMPs)が報告されている。本研究ではMT1,4,5-MMPsに的を絞って主としてジーンターゲティングの手法を用いて解析するとともに、マウス個体発生における発現やMT1-MMP遺伝子ノックアウトヘテロマウスでの発癌・転移実験によりMT-MMPの生物学的機能解析を目指す。MT1-MMP遺伝子ノックアウトマウスについては既にホモマウスの作成を終了した。本マウスでは、膜性骨化に著しい障害がみられるほか、腱、靱帯、筋膜などの線維性組織に強い線維化を生じることが明らかとなり、骨や線維性組織のマトリックス代謝にMTl-MMPが本質的な役割を果たすと推定され、さらに追加の検討を行っている。MT5-MMPノックアウトマウスに関しては、ヘテロマウスが得られ、ヘテロマウス同士の交配中である。また、MT4-MMPノックアウトマウス作成については、ベクターを構築中である。一方、マウス胎仔期でのMT1,2,3,4,5-MMPs遺伝子の発現をRT-PCR法で検討したところ、いずれの時期においても全ての遺伝子の発現を認め、in situ hybridizationでMTl-MMP遺伝子の発現はノックアウトマウスで異常をきたした組織構成細胞に検出された。MT4-MMPとMT5-MMP遺伝子に関しては、脳の器官形成期、及び生後の脳組織中で検出され、脳の形成、機能維持に重要な働きをしていると考えている。
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