研究概要 |
1)TNF-αconverting enzyme(TACE,ADAM17):ヒトおよびマウスTACEに対する単クローン抗体(mAb)を作成し、ヒトおよびマウスのmyelois細胞および細胞株におけるTACE発現をウエスタン法およびFACS法で、組織所見は免疫染色(PAP)で観察した。顆粒球・単球系細胞:好中球では蓄えられたTACEが活性化後膜表面に出現することが示唆された。単球に恒常性発現を観察した。mAbはLPS刺激によるヒトの末梢血分離単核細胞のTNF-α遊離を強く抑制した。好中球のLPSによるTNF-α遊離阻止は軽度であり、他のsheddaseの関与が示唆されたが、ADAM系メタロプロテアーゼに有効なhydroxamate系阻害剤で強く阻害されることから、細胞内TACEによるプロセシングが示唆された。特発性間質性肺炎では肺胞壁のMφおよび好中球、リウマチ関節では滑膜下Mφ、マウスP.acnes注射後の肺および肝で肺胞壁や肉芽のMφおよび好中球にTACE発現を認めた。 2)ADAM15:ADAM15に対するmAbを作成した。FACSでマウスT細胞におけるIL-2+ConA,抗CD3,VP-16などの刺激に伴うADAM15の発現を検索し、アポトーシス(Apo)とADAM15細胞膜表面発現が相関することを見い出した。ApoとADAM15細胞膜表面発現はFasトランスフェクト細胞を抗Fas抗体刺激でもで観察されること、この発現はZ-VADで阻止されること、また、hydroxamate系阻害剤で阻害されることなどを観察した。以上の細胞ではApoに伴い細胞内ADAM15の減少が見られることから、細胞膜表面への移動が考えられた。さらに、アンチセンスADAM15cDNAをトランスフェクトしたRAW細胞でVP-16に対するApoの顕著な亢進が見られることから、ADAM15のApo阻止効果が示唆された。マウスADAM15の全遺伝子構造を明らかにし、刺激によるmRNAの発現変化を観察した。正常マウス組識におけるADAM15の発現検索:PAPでは脳の錐体細胞およびPurkinje細胞、骨髄細胞の巨核球、myeloid細胞、erythroid細胞、脾臓の巨核球、単核球、腎集合管上皮細胞、副腎網状帯細胞、心筋細胞などに強く発現が見られることを観察した。 3)ADAM8(CD156):ADAM8の細胞外ドメインのFc融合蛋白を作成し、α2Mと結合することを明らかにした。マウスADAM8に対するmAbを作成した。Wobblerマウスでは神経および増生するグリア細胞にADAM8の強い発現が見られること、発現はTNF-a刺激で亢進し、IRF-1転写因子が関与することを明らかにした(JW Bartschとの共同実験)。マウス腹腔レジデントMφでADAM8が発現することおよびLPS12時間刺激により陽性細胞の増加を観察した。アルサス12時間の細胞では一部の好中球に発現を、また、LPS12時間刺激により陽性好中球が増加することを観察した。
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