研究概要 |
細胞外マトリックス(ECM)は、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)とADAMTS分子により代謝されている。本研究課題では、MMPの組織内活性化、MMP/ADAMTS4 による脳プロテオグリカン(ブレビカン)の分解およびVEGF ( Vascular endothelial growth factor) のマトリクラインについて検討した。得られた研究成果は、以下の通りである。 (1).ヒト癌組織や慢性関節リウマチ滑膜組織でのproMMP-2活性化におけるMT1, 2, 3-MMPs の役割を検討し、甲状腺癌や滑膜ではMT1-MMP が主役を演じることを明らかにした。一方、グリオーマではMT1-MMP とMT2-MMP が活性化するのに対し、MT3-MMP は低レベルながら正常脳でも発現しており、脳ECMの生理的代謝回転に関与する可能性を示した。 (2).MMP-1, 2, 3, 7 ,9, 10, MT1-MMP, MT3-MMP およびADAMTS4 をブレビカンに作用させ、MMP-1, 2, 3, 7, 10, ADAMTS4 が分解活性を持つことを示した。N末端アミノ酸シークエンスから、MMPはAla^<360>-Phe^<361> ボンドを共通して切断するのに対し、ADAMTS4はGlu^<395>-Ser^<396> ボンドで分解し、MMPとADAMTSでは切断部位が異なることを明らかにした。 (3).VEGF_<165>をbait として酵母のtwo hybrid system を用いて軟骨細胞cDNAライブラリーをスクリーニングした。128個の陽性クローンをシークエンスしたところ、フィブロネクチン、コラーゲン、テネシンなどのECM分子とVEGF_<121> とVEGF_<165> との結合脳をプレートアッセイとBIACORE を用いて検討中である。
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