研究概要 |
マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)とADAMTS4(aggrecanase-1)による脳プロテオグリカン(ブレビカン)の分解について検討するとともに、tissue inhibitors of metallo-proteinases(TIMP-1,2,3,4)のADAMTS4に対する阻害活性を調べた。また、vascular endothelial growth factor(VEGF)のマトリクラインについて解析した。得られた研究成果は、以下の通りである。 (1).MMP-1,2,3,7,8,9,10,13,MT1-MMP,MT3-MMPおよびADAMTS4をブレビカンに作用させたところ、MMP-1,2,3,7,8,10,13,ADAMTS4が分解活性を示した。N末端アミノ酸シークエンスから、これらのMMPはAla^<360>-Phe^<361>ボンドを共通して切断するのに対し、ADAMTS4はGlu^<395>-Ser^<396>ボンドで分解し、ブレビカンのMMP切断部位とADAMTS切断部位の存在が明らかとなった。 (2).ADAMIS4の軟骨プロテオグリカン(アグリカン)分解活性に対するTIMP-3の阻害活性は最も強く、そのIC_<50>値は7.9nMであり、他のTIMPより少なくとも44倍以上インヒビター活性が強かった。 (3).VEGF_<165>をbaitとして酵母のtwo hybrid systemを用いて軟骨細胞cDNAライブラリーをスクリーニングし、シークエンス可能な120個のクローンが得られた。これらには、フィブロネクチン、コラーゲン、テネシンなどの細胞外マトリックス分子の他、膜タンパクや種々のサイトカインなどが含まれていた。これらの分子とVEGF_<165>との結合能と結合による血管新生抑制活性を検討中である。
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