研究課題/領域番号 |
11241205
|
研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
荒木 弘之 国立遺伝学研究所, 細胞遺伝研究系, 教授 (20151160)
|
研究分担者 |
杉本 勝則 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90192616)
上村 陽一郎 国立遺伝学研究所, 細胞遺伝研究系, 助手 (20321599)
|
キーワード | DNA複製 / チェックポイント / BRCT / ATM / 出芽酵母 |
研究概要 |
出芽酵素のDpb11は、タンパク質間の相互作用に働くBRCT(BRCA1 C-Terminus)ドメインを4つ持ち、染色体DNA複製と細胞周期チェックポイントに関与している。荒木は、Dpb11がDNAポリメラーゼε及びαの複製開始領域への結合に必要であることを明らかにした。また上村・荒本は、Dpb11の機能を知るため、Dpb11と相互作用するSld(Synthetic lethal with dpb11-1)1〜6を分離している。このうち、Sld3はSld4/Cdc45と共に働き、S期初期に活性化される複製開始領域にはG1期から結合していることを見つけている。本年度はこの解析を進め、1)Sld3とCdc45が複合体を形成することが、それぞれのタンパク質が複製開始領域に結合するために必要であること、2)Sld3,Cdc45の複製開始領域への結合が、複製開始領域の解離に必要であること、を明らかにした。一方、他のSldタンパク質に関して、以下のことも明らかにした。1)Sld5はPsf1(Partner of Sld5)と複合体を形成し、複製開始領域にS期に結合し、DNAポリメラーゼのローディングに直接または間接的に関わっている。2)Dpb11と複合体を形成することを報告しているSld2は、S期にCdkキナーゼによりリン酸化される。このリン酸化がDpb11との複合体形成に必須であり、DNAポリメラーゼの複製開始領域へのローディングがSld2のリン酸化を介して制御されている可能性を示した。さらに、1月には本特定研究のシンポジウムのため、ミラノ大学のM.Foianiを招聘し、DNA複製期でのチェックポイントについて討議した。 杉本は、チェックポイントに関わる因子の検索を続け、チェックポイントで重要な働きをするMec1(ほ乳動物のATMに似る)が新規因子Pie1と複合体を形成し、Pie1もチェックポイントに関わっていることを明らかにした。また、Mec1が二重鎖切断部位に結合することも、CHIP(Chromatin Immunoprecipitation)法により明らかにしている。
|