研究概要 |
DNAと相互作用するタンパク質として、大腸菌からRNAポリメラーゼを調製した。調製後のRNAポリメラーゼの活性測定を行い、正常な活性を有していることを確認した。次に顕微鏡システムのセットアップを行った。DNAは非常に強力なA1プロモーターが1つ存在する欠失突然変異T7ファージを鋳型に、合成オリゴヌクレオチドをプライマーとしてA1プロモーターを含む長さ2マイクロメーター程度のDNAをPCR法で調製した。その際、片方のプライマーとするオリゴヌクレオチドをビオチン化しておきDNAの片端をビオチン化した。合成したDNAとRNAポリメラーゼをATP, GTP, CTP, ApU 存在下で30度、3分程度処理するとRNAポリメラーゼはA1プロモーター部位から転写を開始し、20番目のAのところで転写を休止し、いわゆるstalled complex を形成することを確認した。この転写複合体をガラス基板上に固定しDNAの片端にストレプトアビジンビーズを結合させ、NTPを加えビーズのブラウン運動を観察した。はじめビーズは激しくブラウン運動しているが、転写が進むにつれて、DNAがRNAポリメラーゼにたぐり寄せられていき、ビーズのブラウン運動がしだいに小さくなり、最後にはDNAが完全にたぐり寄せられてしまい。ビーズのブラウン運動が停止するのが観察できた。ブラウン運動停止までの時間とDNAの長さからRNAポリメラーゼの転写活性を見積もることができた。
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