研究分担者 |
赤松 信彦 上越教育大学, 学校教育学部, 講師 (30281736)
多鹿 秀継 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (30109368)
加藤 和生 九州大学, 大学院・人間環境学研究科, 助教授 (00281759)
仮屋園 昭彦 鹿児島大学, 教育学部, 助教授 (30274674)
藤田 豊 熊本大学, 教育学部, 助教授 (60238590)
|
研究概要 |
11年度は,次の3つの観点からこのテーマに関して理論的及び調査的な研究を行った。 1.ディスカッションを中心にした問題解決過程: 大学生や児童を対象に,ディスカッションを中心にした問題解決過程を話し手聞き手の両面から分析し,討論の流れや深まり,問題点の発見や吟味の仕方,自己表現力の仕方,自己他者間の認識のズレ,反省的思考やモニタリングの特徴などを検討した。その結果,被験者がどのような志向性をもってディスカッション状況に参加するか,また動機付けの程度や興味関心。知識の程度の有無によって,学ぶ内容やその深さが大きく変化する。すなわち,問題解決に直結するような新たな解決方略の生成や発見や知識の向上のみでなく,自己表現の仕方,自己表現力,自己認識の見直し,新たな他者認識の芽生えなど,社会面・人格面・情緒面・認識面で変容する可能性がディスカッション状況には潜在していることが実証化された。 2.教育現場での「話し合い活動」の分析: ディスカッションを中心にした対話授業の過程を教師の教育観,生徒の動機付けなどの側面から,実際の質問が生成されるまでの心理過程を分析した。その結果,こどもたちが質問行動を起すまでの間には,"「学習状況に向かう志向性」(動機付けの)強さ""「曖昧性」の認識""「曖昧性を明確化しようとする」努力""のような形で表現するか(質問の生成)""実際の発現(質問行動)"といった心的プロセスがあり,各プロセスにはいろいろな心理的社会的要因が関与していることが解った。 3.自己表現力や知識構成力の訓練: 自己表現力をの育成を目指して,一つには具体的なロールプレイを試みながら,自己開示がどのように変化していくかの過程分析を試みた,またFace-to-Faceのディスカッション状況と,コンピュータネットワーク状況での討論場面を比較検討し,両者の間にはどのような側面に共通性と差異性が見られるかについて,知識構成ないしは理論構成の視点から分析した。 1.〜3.までの実験計画並びにデータ収集は現在も継続中であり,次年度にはさらにそれらを精緻化していく予定。
|