研究分担者 |
仮屋園 昭彦 鹿児島大学, 教育学部, 助教授 (30274674)
多鹿 秀継 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (30109368)
加藤 和生 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 助教授 (00281759)
綿巻 徹 長崎県立シーボルト大学, 看護学部, 教授 (70142172)
出口 毅 山形大学, 教育学部, 助教授 (60241684)
|
研究概要 |
次の3つの観点からこのテーマに関して理論的,実験的及び調査的な研究を行った。 1.ディスカッションの展開位相とメタ認知的発話の分析:大学生や児童を対象にして,目標の違い,グループ構成,メンバーの特徴の違いによってディスカッションの展開の仕方や内容がどのように異なるかの定量的・定性的分析を行い,理論的に展開モデルを創出した.ディスカッションの展開は,基本的には3つの局面でのジグザグ運動的な反省的思考活動,すなわち一つは社会的協同構成ゾーンで営まれる反省的思考活動であり,二つ目は個人内ゾーンで営まれる反省的思考活動であり,三つ目は個人内ゾーンと社会的協同構成ゾーンとの間を行き来する反省的思考活動であり,その各活動過程ではメタ認知的発話が調整的な重要な機能を果たすと言うモデルである. 2.創造的ディスカッションを抑制する「暗黙のルール」の抽出:なぜ実際の授業場面(小学校から大学生に至るまで)で子どもや生徒が主体的に質問や発問ができないのか,その原因の一つに授業場面の基底に流れている悪しき「暗黙のルール」があるのではないかという考えのもとに,体系的な調査を行い,「暗黙のルール」の因子を抽出した.(1)「暗黙のルール」には年齢段階で共通している因子と発達段階によって異なる因子があること,(2)その暗黙のルールをいかに解すような関わり方(教授方略)を教師ができるか否かによって,こどもの主体的な発問行動が生起したり,新たな視点から問題を吟味・検討する創造的なディスカッションが生まれたり,互いの学びの姿勢や態度を育む刺激的な学習環境に発展していくか否かが決定することが分かった. 3.自己表現力とディスカッション技能を育む学習環境:見方・考え方・価値観の異なる人々との間で,積極的に自己表現したり,創造的にディスカッションしていく為に必要な基本的な姿勢や態度や技能を育む源は,家庭の中での対話環境,遊びの中での子ども同士の対話,さらには学校教育の中での対話様式にあるものと想定し,各学習環境やそこでの対話様式や内容が,子どもの実際のディスカッション技能や創造的な思考活動にどのような影響を及ぼしているかの因果関係モデルを構築できるような体系的調査研究と定量的・定性的分析を行った.
|