研究課題/領域番号 |
11301009
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
中村 満紀男 筑波大学, 心身障害学系, 教授 (80000280)
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研究分担者 |
平田 勝政 長崎大学, 教育学部, 助教授 (10218779)
星野 常夫 文教大学, 教育学部, 教授 (20137821)
二文字 理明 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00030461)
渡辺 勧持 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 社会福祉学部, 部長 (00090423)
岡田 恵己子 東京都立大学, 人文学部, 教授 (10233321)
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キーワード | 優生学 / 断種 / 知的障害 / アメリカ合衆国 / スウェーデン / 日本 / フランス / 発展途上国 |
研究概要 |
20世紀優生学は、障害者を主な標的として、人類に大きな負の遺産を遺したばかりか、医療の先端化とともに現代的課題をも提起してきた。その思想と背景を究明するには、多面的・多元的なアプローチが不可欠であり、障害者を対象として、(1)現代的価値判断に基づく過去の裁断ではなく、優生学が積極的に受容された歴史的・社会的状況を再現し、その地理的・文化的要素を加えた範疇化を試みること、(2)優生学思想に対する現代的な反応状況を優生学が支配的であった国々と発展途上国において探求すること、を主な研究目標として設定した。 第一年目では、歴史的研究としては以下の主な研究成果が得られた。(1)アメリカ最大の断種実施洲、カリフォルニア州における理論的担い手、Paul B.Popenoeの連続研究と彼の理論が受容された背景について、「精神薄弱」者施設および社会的・経済的状況から明らかにした。他方で、(2)優生学(研究)の空白地帯であったフランスについて、資料および専門研究者とのコンタクトが得られ、当初の仮定通り、重要な対照地域となる。また、(3)日本については、優生学の受容とその過程に関する基礎的な資料調査を行った。 現代的反応については、(4)スウェーデンにおける最近の不妊手術報道の過程と影響について、(5)わが国の優生思想に対する態度について、実地調査が行われた。後者の調査は、本年は知的障害者入所施設職員(84名)に対して実施されたが、今後は一般市民およびアメリカ合衆国との比較研究に発展する計画である。 (6)発展途上国における優生学の実相についても、聞き取り調査がタイとスリ・ランカで実施された。
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