研究課題/領域番号 |
11301009
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
中村 満紀男 筑波大学, 心身障害学系, 教授 (80000280)
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研究分担者 |
平田 勝政 長崎大学, 教育学部, 助教授 (10218779)
岡田 英己子 東京都立大学, 人文学部, 教授 (10233321)
二文字 理明 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00030461)
星野 常夫 文教大学, 教育学部, 教授 (20137821)
宮崎 孝治 江戸川女子短期大学, 助教授 (90289869)
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キーワード | 優生学 / 断種 / 知的障害 / アメリカ合衆国 / ドイツ / スウェーデン / 日本 / 発展途上国 |
研究概要 |
20世紀優生学がなにゆえに、世紀前半において民主制を採用する欧米先進国で積極的に受容され、障害者を主要な対象として出生予防のための断種が広範に実施されたのか、また、世紀後半においても、先進国で優生学の思想とその基盤が必ずしも十分に清算されたとはいえず残滓として継続されているのか、さらには、世紀前半の後進国および後半の発展途上国における優生学的思想が占める位置の先進国との相違は何かについて検討した。 第二年目では、歴史的研究としては、以下の成果が得られた。(1)優生学大国であったアメリカ合衆国については、20世紀初頭、新興諸科学(心理学、社会学・社会事業、精神医学)が、優生学の導入と精神病者・「精神薄弱」者等に対する断種の適用において積極的な理論形成に関与した理由と背景について究明した。(2)英国は優生学発祥の地であり、優生学の議論も盛んでありながら、断種法の制定には至らない国であったが、提起された数少ない法案について具体的に検討した。(3)ドイツ社会事業成立期の理論における優生学・優生思想について、ジェンダーおよび家族共同体の観点から検討した。(4)戦前日本については、知的障害福祉における優生学の影響について検討した。(5)北欧のうち、スウェーデンについては歴史的検討の基礎作業として、詳細な年表を作成した。この他に、優生学に対して抑制的な態度がとられたフランスについても検討が進められている。 また、近年における優生学に対する反応としては、スウェーデンにおける不妊手術報道の詳細とその背景について、現地における面接および資料調査をもとに究明され、著書として刊行された。発展途上国における優生学の流入状況について、本年もインド等で調査が継続され、先進国とは異なる意味と背景が示唆されつつある。
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