研究課題/領域番号 |
11301009
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
中村 満紀男 筑波大学, 心身障害学系, 教授 (80000280)
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研究分担者 |
平田 勝政 長崎大学, 教育学部, 助教授 (10218779)
岡田 英己子 東京都立大学, 人文学部, 教授 (10233321)
二文字 理明 大阪教育大学, 教養学科, 教授 (00030461)
星野 常夫 文教大学, 教育学部, 教授 (20137821)
荒川 智 茨城大学, 教育学部, 助教授 (80201903)
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キーワード | 優生学 / 断種 / 知的障害 / アメリカ合衆国 / ヨーロッパ / ソビエト連邦 / 日本 / 発展途上国 |
研究概要 |
最終年度に当たる今年度では、3年間にわたる研究成果のまとめを行った。第二次世界大戦前の一時期のナチ・ドイツを除けば、世界で最大の優生学運動とその結実がみられたアメリカ合衆国については、20世紀初頭における国内外の問題解決のため優生学の導入と社会的不適者に対する簡便・安全な方法としての断種の実施と、1920年代以降の断種対象としての精神病者と精神薄弱者へ焦点化および第二次世界大戦後までの変遷を論じた。断種法がなかったイギリスでは、1910年代末から1940年代半ばまでの戦間期における断種法制定運動についてまとめた。ドイツについては、優生学・優生思想の制度・政策化のドイツ的特徴とその変容を、専門家集団の職業倫理から論じるとともに、ナチズム期における優生政策と障害児教育政策の連結を考察した。優生学が普及しなかったとされるフランスでは、優生学の受容態度についてD.E.Bournevilleを中心に検討し、現代における研究状況についても展望した。北欧については、スウェーデンにおける優生学の精神薄弱者施設における導入とデンマーク断種法をとりあげ、強制断種問題の経緯と現代の課題については、現代スウェーデンを中心としながら、北欧全体の動向を展望した。社会主義と優生学との関連については、ソビエト連邦において優生学運動が盛んであった1920年代を中心に、優生学の出現・消失・転換の過程と障害の関係を論じた。日本については、近代以降の欧米からの優生学導入と受容、その普及について記述し、現代の問題としては、人工内耳と優生学を関連づけて論じた。旧植民地における優生学の導入についても触れた。最後に、優生学の消失と維持について現代および発展途上国の観点から展望した。
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