研究課題/領域番号 |
11301013
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 邦夫 東京大学, 総合研究博物館, 助手 (10272527)
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研究分担者 |
小田 静夫 東京都教育庁, 主任学芸員(研究職)
阿部 芳郎 明治大学, 文学部, 助教授 (10221730)
丑野 毅 東京大学, 総合文化研究科, 助手 (80143329)
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キーワード | 年代測定 / AMS(加速器質量分析) / 縄文海進 / 貝塚 |
研究概要 |
貝塚遺跡のデータベースについて、発掘調査報告書の解析は難航している。土器型式についての細分化されたデータ、およびそれに関する年代値を収集したが、必ずしも満足できる情報は得られなかった。この結果、C-14年代値のデータは予想外に少なく、千葉県では100件をわずかに越える程度で、その半数以上が、貝の測定であった。これらの年代値を用いて、暦年補正を行い、それぞれの遺跡および土器形式について、年代値の評価を行った。その結果、木炭と貝の暦年値に乖離が認められるものが多数発見された。 繊維土器は、縄文時代早期の野島式、鵜が島台式、茅山下層式を重点的に測定し、土器片から直接求めた放射性炭素年代値を用いて三者の前後関係を検討した。ほぼ、40資料の年代を決定する作業が、現在継続中である。炭素13の同位体比、δ^<13>Cの測定値は、2例を除いて約-25〓で、ヒエ、アワ、カヤ、ススキなどのC4植物を使っていないことが明白になった。また、レプリカ法により、土器表面・内部に残っている繊維の圧痕を解析した結果、直線状の短い繊維が多くみられた。これは、今後、統計的に扱える程度まで、データを蓄積する必要がある。これらをもとに、製作技法の検討などを行った。 貝の暦年代に関する検討は、現在、発掘中、または、遺物整理中の貝塚遺跡から、貝と同層の木炭を一組にした試料を多数入手して、暦年比較を行った。そのうちで、たとえば、三陸地方の縄文前期〜中期の遺跡では、貝が200年も古い年代を示した。それに対して、三浦半島の東京湾・湾口部に位置する遺跡では後期の全範囲にわたって、ほぼ同じ暦年値を示すことがわかってきた。
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