研究課題/領域番号 |
11301014
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
川越 哲志 広島大学, 文学部, 教授 (20033491)
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研究分担者 |
中橋 孝博 九州大学, 大学院・比較社会文化研究科, 教授 (20108723)
中越 利夫 広島大学, 文学部, 助手 (80144799)
河瀬 正利 広島大学, 文学部, 教授 (30093743)
松井 章 奈良国立文化財研究所, 主任研究官 (20157225)
河村 善也 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (00135394)
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キーワード | 西日本 / 石灰岩地帯 / 環境適応 / 帝釈峡遺跡群 / 洞窟遺跡 / 岩陰遺跡 |
研究概要 |
本研究は、旧石器時代以降の、西日本石灰岩地帯における人間の生活活動や、それをとりまく自然的・社会的環境の分析を通じて、石灰岩地帯の独自な生活様式や、人間と環境との共生・適応関係について、考古学・人類学・古生物学・環境考古学から学際的・総合的に究明しようとするものである。 本年度は、(1)帝釈峡遺跡群の考古学的研究、(2)帝釈峡遺跡群出土動物骨の古生物学・環境考古学的研究の2分野の研究を中心に実施した。 (1)考古学研究では、大風呂洞窟遺跡・弘法滝洞窟遺跡・東山岩陰遺跡の発掘調査を行った。大風呂遺跡では、古代と中世の炉跡が確認され、歴史時代における洞窟利用の実態が明らかになり、弘法滝遺跡では、遺物の出土状況などから、縄文時代早期における洞窟内の生活空間を復元できた。また東山遺跡では、河原石の検出状況などから、縄文時代早期の遺跡環境が復元できた。 (2)古生物学・環境考古学的研究では、大風呂洞窟遺跡と弘法滝洞窟遺跡出土資料の整理・分析を行った。大風呂遺跡では、食料となるシカ・イノシシなどの他に、ジネズミ・ハタネズミ・アカネズミなどの小型動物が非常に多いことが明らかになり、遺跡周辺環境の復元や、人間と動物の洞窟利用・共生関係を知るデータが得られた。弘法滝遺跡では、哺乳類・鳥類・両生類・甲殻類・爬虫類がみられ、そのなかでも、カワウソ・ウマ・オオサンショウウオが注目され、これまで未分析の魚類はギギ・ナマズ・コイ・ウグイ・フナ・ウナギが明らかになった。確認された動物群は、現在中国地方に生息するものであるが、カワウソのように絶滅種も含まれている。オオサンショウウオは、考古学的な遺跡の調査では、おそらく世界で初めての資料と思われ、縄文時代早・前期以降から食されていたことが明らかとなった。
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