研究課題
基盤研究(A)
藩法史料のデジタルデータベース構築に向けた基礎作業として、藩法史料の現状を調査した。『藩法集』を刊行した藩法研究会が1950年代・60年代に調査して以来、全般的な調査は行われていない。その後の研究の進展を考慮すると、原史料だけでなく、活発化した地方史刊行をもフォローすることが必要となった。数多くの藩を手分けして調査したが、藩政史料が残存していない藩、史料はあっても藩法史料と呼べるものが見当たらない藩も多かった。調査は全体としては途上にあるものの、東北の会津藩から九州の熊本藩に至る31藩の原史料と地方史刊行物の現況について、報告することができた。篠山藩調査では、従来わずかを除いて散逸したと見られていた「祠部職掌類聚」を444冊発見し、翻刻も進みつつある。これらの調査と並行して、実際に未公刊原史料をデジタルデータにするための共同調査を4年間に4箇所実施した。対象としたのは、藩法史料の多い熊本藩、対馬藩、宇和島藩、長州藩(山口藩)である。多くの藩法史料を共同で閲覧調査し、採録対象史料を検討選択した。採録した史料の画像は、名城大学法学部の藩法研究会(中部)ホームページにアップロードし、分担して翻刻校訂を進めた。その成果は、対馬藩の「罰責」など刑事法史料を中心に、宇和島藩、長州藩、以前に調査した盛岡藩の「刑罪」も含めて、同ホームページに大量の画像と翻刻テキストがデータベース化されている。
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