研究課題/領域番号 |
11304005
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡本 久 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (40143359)
|
研究分担者 |
松村 昭孝 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60115938)
西田 孝明 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70026110)
大木谷 耕司 京都大学, 数理解析研究所, 助教授 (70211787)
木村 芳文 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (70169944)
池田 勉 龍谷大学, 理工学部, 教授 (50151296)
|
キーワード | ナビエストークス方程式 / ボルツマン方程式 / 衝撃波 / KdV方程式 / 水面波 / 解の分岐 / 渦力学 / 反応拡散系 |
研究概要 |
本年度は(1)Navier-Stokes方程式における新しい解、特に内部遷移層などの特異点を含む解の発見、(2)渦力学を基礎にすえた乱流理論の構築,などで進展を見た。 岡本とKim Sunchulは菱形の周期流を考え、分岐解の構造とレイノルズ数無限大での漸近挙動を考察した。丁寧な数値計算によって複雑な分岐解を計算し、不思議な安定性の交換を発見した。岡本とA.CraikはNavier-Stokes方程式から導かれる、ある種の3次元力学系を考察し、その漸近挙動を分類した。これは2次の非線形項を持つ一見単純な常微分方程式であるが、ほぼまっすぐな渦巻解と90度曲がる渦巻解が同居しており、なぜこの違いが生ずるのかが謎であった。岡本とCraikはある種の不安定周期解が存在することを数値的に確かめ、これによって90度の曲がりが出たり出なかったりするメカニズムを明らかにした。 この力学系はNavier-Stokes方程式の厳密解を与えるので、本研究で明らかにされた知見をさらに応用されることが期待される。 岡本とX.Chenは、Navier-Stokes方程式から導かれるProudmann-Johnson方程式を考え、斉次境界条件の場合には解の爆発が起きないことを証明した。これは10年間ほど解答が望まれてきた問題であり、本年度でもっとも満足感の高い結果である。非斉次境界条件の場合には数値実験が進行中であるが、確定的な結果はまだ得られていない。 岡本と長山は、Navier-Stokes方程式の、軸対象な相似解を考察してその解がレイノルズ数無限大の極限で内部遷移層を持つことを発見した。さらに、適当な仮定の下で内部遷移層の存在を証明することができた。 大木谷とJ.Gibbonは3次元Navier-Stokes方程式から2次元のreduced systemを導き、その解が有限時間で爆発することを数値実験で示した。さらに爆発の漸近挙動を明らかにした。 木村はコロラド大学のグループといっしょに乱流の研究を続け、2次元渦と乱流の構造について新しい現象を発見した。
|