研究分担者 |
松村 昭孝 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60115938)
西田 孝明 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70026110)
大木谷 耕司 京都大学, 数理解析研究所, 助教授 (70211787)
中木 達幸 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (50172284)
川島 秀一 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (70144631)
|
研究概要 |
本研究では(1)Navier-Stokes方程式における新しい解,特に内部遷移層などの(擬)特異点を含む解の発見,(2)水面波の分岐現象,特に孤立波の新しい数値計算法,などで進展を見た. 岡本とKim Sunchulは菱形の周期流を考え,分岐解の構造とレイノルズ数無限大での漸近挙動を考察した.丁寧な数値計算によって複雑な分岐解を計算し,不思議な安定性の交換を発見した.岡本とA.CraikはNavier-Stokes方程式から導かれる,ある種の3次元力学系を考察し,その漸近挙動を分類した.これは2次の非線形項を持つ一見単純な常微分方程式であるが,ほぼまっすぐな渦巻解と90度曲がる渦巻解が同居しており,なぜこの違いが生ずるのかが謎であった.岡本とCraikはある種の不安定周期解が存在することを数値的に確かめ,これによって90度の曲がりが出たり出なかったりするメカニズムを明らかにした.この力学系はNavier-Stokes方程式の厳密解を与えるので,本研究で明らかにされた知見をさらに応用されることが期待される. 岡本とX.Chenは,Navier-Stokes方程式から導かれるProudmann-Johnson方程式を考え,斉次境界条件の場合には解の爆発が起きないことを証明した.これは10年間ほど解答が望まれてきた問題であり,本研究でもっとも満足感の高い結果である.非斉次境界条件の場合には数値実験が進行中であるが,確定的な結果はまだ得られていない.関数とその1階導関数に関する境界条件のときには,どのような定数を境界条件として与えても,解が時間について大域的な解が存在することが確かめられているが,証明は見つかっていない.これに対し,関数と2階導関数に関する境界条件では,有限時間で爆発するものがあることが数値的にわかってきた. 岡本と長山は,Navier-Stokes方程式の,軸対象な相似解を考察してその解がレイノルズ数無限大の極限で内部遷移層を持つことを発見した.さらに,適当な仮定の下で内部遷移層の存在を証明することができた.Navier-Stokes方程式における内部遷移層はこれまでほとんど例がなく,新しい遷移層を見つけることだけでも意義は大きいが,存在証明もつけることが出来たのは大きな喜びである.
|