研究課題
基盤研究(A)
本研究の柱である、20mレーザー干渉計を国立天文台から神岡鉱山へ移転する作業は、平成11年秋に実行された。これまでに、移転のための現地調査、インフラ整備、移転作業、ミラー交換、データ収集装置の設置などが順調に進んでいる。現地調査は振動環境測定から着手し、神岡鉱山内が昼夜にわたり重力波観測に適していることをあらためて確認した。その後、トンネル掘削コンクリート土台づくり及び配電・給排水工事が行われ、実験室としての器が完成した。その中に、真空系(センタータンク1基、エンドタンク2基、真空パイプ2本、モードクリーナー真空槽、ターボポンプ4台、イオンポンプ2台)を設置し、真空テストを行った。その結果、イオンポンプ2台で観測に必要な真空度を充分維持できることを確認した。大気中に置かれる入射光学系(レーザー等)のためにはもちろんのこと、真空タンク内の干渉系本体を構築する段階ではクリーン環境の実現が不可欠であるが、実験室はほぼ全域をビニールテントで囲み、多数のエアフィルターを実装することで非常にクリーンな環境を生み出した。このクリーンルーム内で真空タンクを開け、ミラーをさらに高性能なものに交換することに成功した。その後、干渉計制御のための配線作業などが行われ、干渉計の動作をチェックした。初期チェックの段階で、早くも国立天文台に設置されていた時期を上回る感度が達成され、現在も感度向上作業が続けられている。観測データを蓄えるデータ収集装置も順調に立ち上がっており、平成11年度末には24時間以上の連続観測を行う予定である。レーザー干渉計の連続観測については、TAMA300が平成11年9月に行った約8時間のものが世界最長である。これをさらに伸ばすことで、重力波観測についての新しい知見が得られるはずである。
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