研究課題/領域番号 |
11304014
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
旭 耕一郎 東京工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80114354)
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研究分担者 |
酒井 健二 東京工業大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40272661)
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キーワード | 不安定核ビーム / 磁気モーメント / 電気四重極モーメント / 原子ビーム / スピン偏極 / 入射角破砕反応 / 超微細相互作用 / 磁気共鳴 |
研究概要 |
本研究の目的は入射核破砕反応によって生成する広範な不安定領域の核を対象として、これに大きなスピン偏極を付与する方法を開発することである。これを用いて、磁気モーメントおよび電気四重極モーメントを系統的に測定し、これまで行なってきた不安定領域の核構造の研究をさらに広い核領域に拡大する。また、偏極放射性イオンをプローブとした凝縮系の研究への応用の道をひらく。 偏極を生成するために、超低速の中性不安定核原子をノズルから噴射し(原子ビーム)、原子の磁気モーメントと磁場との相互作用を利用して原子スピンを選別した上で低磁場中の高周波遷移によって核スピンに偏極を移す。超低速の中性不安定核原子を得るためには、破砕片分離収集装置から得られる有限エネルギー幅を持った入射核破砕片ビームを一旦物質中に停止させる必要があるが、その際できるだけ物質量あたりの密度が高いことが重要である。これを実現する手段として、核種分類後の不安定核を超流動液体ヘリウム中に1価イオンとして止め、電場によってドリフトさせて液面下に収集したのち、電子との再結合によって中性化して液面から引き出す方法を検討した。このために超流動He箱を含む原子ビームチェンバーおよびクライオスタットの設計・製作を行なった。性能テストの結果、液面を一定に保った1.4Kの超流動Heを得た。液体中性イオンをドリフトさせるための電場と液面における中性化のための電子放射用タングステン針(先の極率半径40nm)に電圧-2000Vをかけ、電子放出を確認した。今後、不安定核を用いて低速中性原子の引き出しについて調べる予定である。 これと平行して、原子スピン選別のための磁場計算とその中での中性原子の軌道計算を行なった。これを用いて現在高磁場原子スピン分析系の設計を行なっている。
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