研究課題/領域番号 |
11304018
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
庭野 道夫 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (20134075)
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研究分担者 |
鎌倉 望 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (50323118)
木村 康男 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (40312673)
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キーワード | 半導体 / 赤外分光 / 多重内部反射 / 表面 / 吸着・脱離 / 反応機構 / 酸化 |
研究概要 |
本研究の目的は、半導体表面の水素の挙動を多重内部反射型赤外吸収分光法を主たる解析手段として系統的に明らかにすることである。 本年度の研究実績は以下の通りである。 (1)Si表面上の原子状水素吸着・脱離(庭野、木村、鎌倉) 清浄Si(100)表面上へ原子状水素を吸着させ、赤外吸収スペクトルを測定した。さらに、再びLEEDで表面構造を調べることにより赤外吸収スペクトルを表面構造の相関性を明らかにすることを試みた。その結果、水素の脱離過程は表面の原子レベルの荒さに大きく依存することを確かめた。例えば、Si(100)表面上のダイマーからの脱離に比べ、ステップ端もしくは欠陥からの脱離はより低温で起こることが分かった。 (2)Si表面上の水分子吸着・分解反応(庭野、木村、鎌倉) 清浄化したSi表面上への水分子の吸着過程を調べた。Si(100)(2x1)表面に水分子は吸着しやすく、真空度が10-10Torr程度の超高真空中においてさえ、数10分程度の時間内で表面の大部分が水の解離吸着種で覆われることが分かった。これまで、STM観測等で同定されていたいわゆるC-defectと呼ばれる表面欠陥は水分子の吸着によることを示した。 (3)Si表面上のシラン系分子の反応過程(庭野、木村) 半導体材料ガスで最も単純な構造を持つシラン分子についての反応過程を調べた。その結果、モノシランSiH_4、ジシランSi_2H_6のSi(100)表面への室温吸着過程、およびシラン吸着Si(100)表面の熱分解過程を明らかにした。すなわち、室温吸着においては表面水素被覆率に応じて吸着のモードが顕著に異なること、表面水素被覆率が低い場合にはモノシランが解離して生じる解離種-SiH_2-が2つのダイマー間に架橋結合すること、また、この吸着種は室温でも再分解することを実験的に初めて明らかにしている。さらに、シランが吸着した表面を加熱した場合に起こる水素脱離過程に対して新しい脱離機構の存在を示した。これらの結果はSi結晶成長の原子レベル制御を行う上で極めて重要な成果である。
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