研究課題/領域番号 |
11304019
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
澤田 安樹 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90115577)
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研究分担者 |
鈴木 勝彦 宮城工業高等専門学校, 総合科学系, 助教授 (80187715)
大野 裕三 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (00282012)
江澤 潤一 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90133925)
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キーワード | 量子ホール効果 / 複合ボソン / 活性化エネルギー / 層間コヒーレンス / ボーズ凝縮 / ガリウム砒素 / ホールプラトー / スピン |
研究概要 |
2次元電子系の示す量子ホール状態は、非対角長距離秩序状態を表すラフリンの波動関数によって記述できることが知られている。複合ボソンモデルに立脚すると量子ホール状態を非圧縮性のボーズ凝縮状態とみなすことができる。一方これまでの我々の実験によって、2層系量子ホール状態ν=1および低電子密度のν=2においては、密度差の自由度が存在し、量子ホール状態がボーズ凝縮状態であれば、層間マクロ・コヒーレンスの存在が期待できることを示した。今年度は、2層2次元電子系のν=2独立2層量子ホール状態における活性化エネルギーの総磁場依存性を測定した。活性化エネルギーの磁場に対する変化率からスピン反転数を求めることが可能である。ν=2独立2層量子ホール状態はスカーミオン励起の観測されている1層系のν=1状態が各層にある状態なので、同じようにスカーミオン励起が期待できる。その結果、トンネル相互作用の大きな試料の場合、スピン反転数は14であった。トンネル相互作用が小さな試料の場合や1層系のν=1量子ホール状態の場合にはスピン反転数は7個であった。この結果は層間のトンネル相互作用によって2層で同時にスカーミオン励起が生じていることを示す。また、スピン反転数は磁場の増加とともに14,7,1と不連続に変化した。このことは特定の反転数の時に励起エネルギーが低くなることを意味し、スカーミオン励起が生じる瞬間には相互作用エネルギーの低い格子が形成されていることが予想される。これは今後詳しい研究を必要とする。
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